水中ドローンによる護岸調査

水中ドローンによる護岸調査

今年の5月に新潟県の港で道路が陥没しトレーラーが転落する事故がありました。

県が行った調査の結果、護岸の基礎部分に打ち込まれている鋼矢板(金属板)が腐食して孔が空き、そこから大量の土砂が海中に流出したことで道路下に空洞ができたことが原因だと判明しました。

このような護岸の鋼矢板の腐食・老朽化は、新潟に限らず全国的な問題となっています。

通常鋼矢板の調査や補修は潜水士が行いますが、今回は弊社の水中ドローンBlueROV2を使って鋼矢板の腐食状況の調査を行いました。

BlueROV2のオペレーションは必ず操縦士1名、補助員1名の2名体制で行います。

水中から送られてくる映像をモニターで見ながら専門家が鋼矢板の腐食状態を判定します。

調査の敵は水の濁り

水中ドローンの調査の最大の敵は水の濁りです。

今回の調査場所は河口付近だったため、前日に降った大雨のせいで水がかなり濁っていました。

濁度が高いと見えにくくなるため調査対象にかなり接近する必要があり、その分調査全体にかかる時間は長くなります。

この日は鋼矢板に10㎝の距離まで近づいて一枚ずつ見落としのないよう上から下まで調査しました。

この場所は水深が2mと浅かったため1スパン(約10m)の調査に要した時間は約15分でした。

もし透明度が高ければ離れた位置から複数枚の鋼矢板を同時にチェックできるため、調査時間は大幅に短縮できるでしょう。

対象物の大きさを測る

水中ドローンが映し出す映像では、調査対象の実際の大きさがわかりにくいという問題があります。

そのため水中ドローンのフロント部分にスケールを取り付けました。

このスケールは水中ドローンのフロント部分を保護する役割も果たしています。

5cm刻みのメモリがついており、対象箇所に押し当てて大きさを測ることができます。

今後の課題

水中の濁度に調査時間が左右されるものの、水中ドローンで鋼矢板の劣化度判定は十分可能であることがわかりました。

今後の課題としては以下の通り。

・調査対象が広範囲の場合に調査対象の位置を見失うことがある。目印となるポールを設置するなど位置を見失わないよう工夫が必要である。

・オペレーション中にケーブル(100m)が絡まってしまうことがある。補助員はケーブルを機体の動きに合わせ上手に繰り出し、巻き取れるように訓練が必要である。

・流れが速い場所、波が押し寄せる場所でも安定して撮影できるよう操縦士の技術を向上しなければならない。

潜水士 VS 水中ドローン

今回、従来潜水士が行ってきた鋼矢板の劣化度判定を水中ドローンで行うことが可能であることがわかりました。

しかしながら水中ドローンが潜水士の業務のすべてを代行できるかというとそうではありません。

現時点で水中ドローンは「見る」ことに特化しており、潜水士が手で行う触診や取り付け、撤去、補修作業等の複雑な作業はまだ行えません。

現時点での水中ドローンの活用シーンとしては次の2つが考えられます。

①潜水士に依頼するまでもないと思われる軽微な目視点検(簡易目視点検)

②潜水士にとってリスクが高い環境での目視点検(大深度での点検作業)

水中ドローンは潜水士にとって代わる存在ではなく、潜水士とうまく併用することでコストを削減することができ、全体の作業効率と安全性を向上するのに役立つツールであると考えています。

水中ドローンの詳細